毛髪再生治療の一つであるPRP療法は、患者様自身が持つ成長因子の働きを活用して、組織細胞の働きをもう一度活性化させて再生を促す治療方法で、高い発毛効果を実感できることから大変注目を集めています。
従来の薄毛治療とは違い、元々人間が持っている傷んだ組織を修復して再生する力を活用するため、自然な自毛発毛が可能で根本的な治療が実現できます。
この再生治療の一つであるPRP療法は、毛髪以外でも様々な分野にわたって患者様のお悩みや症状の改善に大きな役割を果たしています。
ここではPRP療法の毛髪再生以外の活用例を中心に紹介し、PRP療法の今後の可能性について解説していきます。
PRP療法とは
PRP療法は再生治療の一つで、患者様自身から採取した幹細胞から組織の修復を促進する成分を高濃度に凝縮したPRP(多血小板血漿)を活用して、組織の働きをもう一度活性化させる治療方法です。
血液に含まれる細胞の一種である血小板には、血液を固める働きと傷んでしまった組織細胞を修復するために必要な成長因子を作る働きがあります。
ケガをして出血したあと、かさぶたを生成して止血する働きを活用して傷んだ細胞を回復させる状態をイメージするとわかりやすいかも知れません。
PRPはこの血小板に含まれている成長因子を濃縮した成分のことで、患部に直接注入して人間が本来持っている自然治癒力を高めてくれます。
PRP療法の主な特徴
PRPを活用した治療法の大きな特徴としては、患者様自身から採取した細胞を活用するため治療による効果が高いだけでなく、アレルギーや副作用がほとんど起こらないといったメリットがあります。
AGA治療薬を使った治療方法では薬の使用を継続しなければ効果を持続させることができませんが、PRP療法では自然に毛髪を生やす力を回復できるため、治療を終えたあとでも自毛発毛の効果を持続することが可能です。
日帰り施術で治療時間も長くても1時間程度と短時間で行えることや、切開とは違って専用の注射針を使って患部に直接PRPを注入するため、傷口がほとんど目立たないことからPRP療法を治療方法として選択される方が増えています。
毛髪再生以外の医療行為でもPRP療法は使われている
毛髪再生だけでなく幅広い分野で活用されているPRP療法。
ここでは毛髪以外でよく使われている治療内容についてまとめてみました。
肘や膝などの関節
PRP療法はスポーツや事故によるケガや疾患によって傷んでしまった肘や膝の関節の組織を再生させる治療方法としても高い効果が認められていることで、トップアスリートへの治療方法としても近年採用されてきています。
また、年齢による制限もないことから成長過程にある学生アスリートから高齢者までと幅広い年齢層で関節組織の修復を安全に行える治療として注目を高めています。
筋・腱・靭帯の損傷や痛み
PRP療法による再生治療は、関節だけでなく肉離れやアキレス腱炎といった筋・腱・靭帯の損傷による痛みや、症状がなかなか治まらない方にも有効です。
有名なアスリートでは現楽天イーグルスの田中将大投手が右肘靭帯の部分断裂の治療方法としてこのPRP療法が採用されて、たった2ヶ月半後に戦列復帰をされたことでも知られています。
他の部位の治療と同様に、術後の負担も少ないことから私生活でも特に制限なく日常生活を過ごすことができます。
アンチエイジング
PRP療法はケガや疾患などの修復だけでなく、しわやたるみの改善といったアンチエイジングにも活用されています。
一般的にはしわやたるみ、皮膚のくぼみなどの治療にはヒアルロン酸などの注入薬剤を注入して物理的にハリやツヤを出す治療を行っていましたが、一定期間を過ぎると体内に吸収されて元に戻ってしまいます。
PRP療法による肌再生では毛髪や関節と同様に、患者様自身の成長因子を患部に直接注入して細胞を活性化させることによって自身の肌の力でハリやツヤを取り戻すことができ、効果も半永久的な継続が可能です。
歯科治療
PRP療法は抜歯時の疼痛緩和(ズキズキした痛み)や歯科インプラントの治療など、口腔内組織の再生医療としても取り入れられており、毛髪再生や関節再生よりも早く採用されてきました。
従来であれば歯の神経を取ったり、抜歯をしなければならないような状態の歯でもPRP療法を活用した歯科再生治療で歯の神経や歯そのものを保存できる可能性に期待ができます。
見た目に関してもインプラント治療でほぼ自分の歯と見分けがつかないようなレベルにまで再生することも可能です。
PRP療法は厚労省から許可された医療機関のみ提供が可能
PRP療法はどのクリニックでも導入できるわけではなく、厚生労働省の認可を得た専門クリニックでなければ、PRPによる再生治療を提供することができません。
治療を行うためには厚生労働省に”再生医療提供計画届書”を提出し、認可を取得することが義務付けられています。
近年問題視されている美容医療に関するトラブル等があってはならないため、国からの厳しい基準を満たした医療機関でないと治療が行えないようになっているのです。
PRP療法による治療のメリット・デメリット
PRP療法による主なメリット・デメリットは以下のとおりです。
PRP療法のメリット
アレルギー反応や副作用の心配がほとんどない
PRP(多血少板血漿)は患者様自身の血液から採取した成分のため、アレルギー反応や副作用の心配がほとんどありません。
日帰り手術で治療時間も短い
PRP療法は日帰り施術で治療する箇所によって多少の違いはありますが治療時間も約1〜2時間程度と短時間で1回あたりの治療が完了できます。
手術と比べて身体への負担が少なく傷あとが目立たない
PRP療法は専用の注射器を使って患部に直接成長因子を注入する治療のため、一般的な手術のように患部を切開する必要がなく、比較的身体への負担が少ないです。
術後の制限が少ない
毛髪再生治療であれば術後当日からシャンプーも可能であるなど、術後の日常生活に対する制限等もほとんどありません。
効果の持続期間が長い
人間が本来持つ修復能力を回復する施術であるため、薬の服用などとは違って施術を終えたあとでも効果が長期間続きます。
男性・女性ともに施術が可能
患者様自身の細胞を活用するため、性別による制限等もなく男女共に比較的安全な治療として高い効果が認められています。
PRP療法のデメリット
保険診療はなく治療費は全額自己負担
PRP療法は現在のところ保険適用が認められていないため、全額自己負担の自由診療で行われます。
治療内容によって差は生じますが、治療費自体も数回の治療で平均40〜60万円はかかるものがほとんどです。
術後しばらく痛みや違和感を感じる
施術自体は極細の注射針を使って患部にPRPを注入するため、ほとんど痛みは感じませんが術後から3日程度軽い頭痛やめまい、違和感を感じることがあります。
治療不可もしくは効果が期待できない方もいる
施術を受けるメリットが多いPRP療法ですが、残念ながら誰にでも適用できる治療ではありません。
施術を受けられない方、効果が期待できない方は以下の条件にあてはまる方です。
施術を受けられない方
・お子様
・心臓病、脳梗塞の既往歴のある方
・肝臓疾患をお持ちの方
しかし、治療する部位によって若干の違いはありますが、健康状態や一定の条件を満たせば治療が可能になるケースもあります。
ご自身で判断せず、まずはPRP療法の認可クリニックで相談してみるとよいでしょう。
あなたにとって最適な再生治療で確かな発毛実感を
ここでは毛髪再生治療で高い発毛効果が認められているPRP療法が毛髪再生以外にも利用されている分野について詳しく解説してきました。
患者様自身の血液から採取したPRP(多血症板血漿)を利用した再生治療は働きが休止してしまっている細胞をもう一度活性化させて再生する効果が高いだけでなく、アレルギー反応や副作用の心配がほとんどないことから様々な医療分野で注目されています。
毛髪再生以外ではスポーツや事故などによる肘や膝のケガや症状、しわやたるみといった肌再生のためのアンチエイジング、インプラント治療などの歯科治療でも採用されている治療方法です。
しかし、PRP療法はメリットばかりではなく、国や行政機関の認可を受けたクリニックしか治療ができませんし、治療しても効果が得られなかったり、健康状態や所定の条件を満たさなければ治療自体受けることができない場合もあります。
万が一希望する治療方法が適用しない場合でもそのままあきらめてしまうのではなく、別の治療方法や選択肢を含め、専門医とよく相談しながらあなたにとって最適な治療方法を探すことが大切です。
クリニックに相談する際は、クリニックが提供する治療方法に合わせるのではなく、患者様にとって最適な治療方法を提供してくれるクリニックで相談してください。